現代の時代はVUCA(ブーカ)の時代といわれています。VUCAとは、Volatility(変動性)Uncertainty(不確実性)Complexity(複雑性)Ambiguity(曖昧性)の頭文字をとったものですが、この激しい変化の波は金融業界にも訪れています。
2020年5月29日、当時の金融庁長官である遠藤俊英氏が京都大学で行った特別講義「金融行政の現状と課題」では、金融行政や金融機関の今後の変革に関する提言がなされました。その中の一つが、顧客本位の業務運営です。
今回は、特に「顧客本位の業務運営」に焦点を当てつつ遠藤長官の講座内容をまとめ、その中で文書管理のやり方はどう変わっていくのかを検討します。
金融行政や金融機関の変化と顧客本位の業務運営
金融監督庁や金融庁が発足した2000年前後は、不良債権問題などが深刻化し、いわゆる金融危機を迎えていました。そういった課題を解決するために、下記のような対策がとられました。
- ルール重視の事後チェック行政
- 厳格な個別資産査定中心の検査
- 法令遵守確認の徹底
こういった対策が功を奏し、不良債権問題は収束し、最低限の利用者保護の仕組みが出来上がりました。しかしその結果、顧客ニーズに即したサービス提供よりも、ルール遵守の証拠作りに注力してしまい、金融機関が形式に集中しすぎるなどの悪影響も生じました。
その流れで見直されているものの一つが、「顧客本位の業務運営の原則」です。2017年3月30日に定められた原則ですが、2020年9月末にはその原則を採択し、取組方針・自主的なKPI・共通KPIを公表した金融事業者のリストも金融庁から公表されています。
上記のリストを公開した理由は、「原則」の趣旨をきちんと理解し、実際に実践するスタンスが欠如している金融機関の事例が散見されたためです。
そこで、顧客に対する意識調査を実施したところ、金融機関の取組みなどの不透明な部分を洗い出し、よりわかりやすく伝えることが課題の一つだと浮かび上がってきました。
個人情報を多数取り扱う金融機関だからこそ、管理状況のモニタリングや取り組み内容の見える化が必要なのです。
金融業務の「見える化」の実践に必要なプロセスの見直し
業務の見える化を行う場合、現場における危機管理やコストカット、工程の改善など、明確な目的を立てることが最初に必要なプロセスです。実際、中小企業庁の「2018年版中小企業白書」でも、「業務プロセスの見直し」の重要性が記載されており、生産効率の向上やコスト削減効果が期待できます。
業務プロセスの見直しでよく用いられる手法が、業務フローを描き出すことです。フローが可視化されると、どこに問題があるのかが明確になり、浮かび上がってきた「よくわかっていない部分」や「誰かに任せている部分」を精査できます。
特に「よくわかっていない部分」や「誰かに任せている部分」は、業務フロー全体のボトルネックになりがちです。つまり、組織全体のパフォーマンスを下げてしまうリスクがそこには潜んでいます。
ボトルネックになりがちな業務フロー「文書管理」
金融機関でこのボトルネックになりがちな部分の一つが、文書管理です。なんとなく「よくわからない」まま運用ルールに沿って管理をしており、しかも「誰かに任せてしまいがち」な部分といえます。
特にセキュリティレベルも種類もさまざまな文書を大量に扱う金融機関にとっては、最も「見える化」しづらい部分といえるでしょう。支店ごとのローカルルールが設けられているケースもあり、統一できないまま、年々煩雑になっていくケースも珍しくありません。
今後。銀行や信用金庫などの金融機関では顧客本位の業務運営がさらに求められるでしょう。毎年放っておいても文書の量は増えていき、どんどんボトルネックが増えていきます。したがって、文書管理の「見える化」を行うなら、できるだけ早く、着手すべきなのです。
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