企業や個人が作成し相手方と締結した契約書は、長期にわたって大切に保管しなければなりません。
しかし、契約書は一旦契約を締結してしまうと、内容をこまめに確認することもそうないので、気付かぬうちに紛失してしまう可能性があります。
そこで今回の記事では、契約書を紛失したことに気付いた際に確認すべきことと、それに伴う対処法について解説します。
目次
契約書の紛失に気付いた際にまず確認すべきこと
あるはずの保管場所から契約書の原本がなくなることは、それほど珍しいことでもありません。
ビジネスで契約書に関わった経験がある方でならば、一度はこのような経験があるのではないでしょうか。
ここでは、万一、自分が管理していた契約書を紛失してしまった際にまず確認するべきことについて解説します。
本当に紛失したか再確認
入れておいたはずの場所に契約書が見当たらない場合でも、紛失したとは限りません。
他の場所に置き忘れた、あるいは保管場所を移動したことも十分に考えられます。
押印済みの製本された契約書であればなおさら、ほかの人が勝手に捨てるなどは通常考えられません。
落ち着いて探せば見つかるかもしれません。
自分だけでは解決できない場合は、同僚などに声をかけて手伝ってもらいましょう。
契約書のコピーがないか確認する
契約書を作成したときに、コピーをとっている可能性も十分に考えられます。
原本とコピーを別々に保管していれば、原本を失くしてしまってもコピーはあるということが考えられるので、コピーも探してみましょう。
また、業務上の必要性から、法務部や総務部、経理部などで、コピーを作成し保管している場合もあります。
そのほかにも「契約書をコピーする」業務が含まれる部署が存在しないか、確認してみましょう。
スキャンデータや電子データが残っていないか確認する
契約書は電子データであっても有効です。
電子署名法第3条に、本人による電子署名があれば電子部署について真正な成立を推定すると明記されています。
そのため、紙の契約書を発見できなくても、スキャンデータや電子データを取得できればリスクを回避できます。
現代は、バックアップ目的に契約書を電子データ化している企業も少なくありません。
ファイルサーバーやローカルドライブに電子データがないか確認してみましょう。
また、契約書のデータを電子メールに添付した履歴が残っていれば、ダウンロードして使えることがあります。
契約書を紛失した際に起こりうるリスクとは?
契約書が紛失したからといって、契約そのものが無効になるわけではありません。
そのため、契約書で合意した内容について影響が生じるわけではありません。
ただし、いくつかのリスクがあることも否定できません。
ここでは考えられる主なリスクについて解説します。
トラブルが発生した際に不利になる
取引先との間でトラブルが発生した場合、通常は契約書に記載されている内容に沿って対処を行います。
しかし契約書を紛失して手元にないとなると、そのような対処ができずに「言った言わない」の水掛け論になってしまうでしょう。
契約書を確認できれば、自社に有利に進められる場合でも、契約書がないために不利な条件を吞まざるを得ないことも考えられます。
取引内容などの重要な情報が漏洩してしまう可能性がある
契約書を紛失するということは、「重要情報の漏洩」につながるリスクがあります。
契約書には、自社と取引先で取り決めた重要な内容が記載されていることが多いです。
その重要な内容は、まったく関係のない第三者からすれば何の意味も価値もない情報です。
しかし、競合する企業などに取引内容が漏れてしまえば、その情報を材料に不利な交渉を仕掛けられる可能性があります。
トラブル発生時のリスクの増大
契約書を紛失すると、取引上のトラブルが発生した際に、そのトラブルに対しての対処が遅れるなどの支障が出る場合があります。
また、契約書には紛争解決の際にどの程度の損害賠償を支払うのか、どの裁判所で話し合いをするのかといったことが記載されています。
それらが確認できないので、多額の損害賠償を支払うことになったり、遠方の裁判所にまで足を運ぶことになったりする例もあります。
契約書紛失時の対処法
契約書を紛失してしまうと非常に動揺し、頭が真っ白になり、何をすればよいのか分からなくなってしまうでしょう。
そこでここでは、契約書を紛失した際の対処法について解説します。
契約書を再発行する
契約書を紛失した際の対処法は、まずは契約書の再発行の手続きをすることです。
契約書は原本が必要な場合はそれほど多くはなく、再発行した契約書でも効果を発揮することが少なくないのです。
取引先に契約書を紛失した旨を報告したうえで、再発行を依頼するなど手続きを速やかにしましょう。
契約書の再発行はほとんどの場合で可能です。
取引先に報告してみましょう。
取引先に謝罪する
契約書を紛失してしまったことが発覚した時点で、取引先に謝罪することが最優先です。
契約書を紛失したからといって即契約破棄につながるわけではありません。
しかし、会社と会社、人と人のつながりで成り立つ契約です。
契約書をなくしてしまったという事態に関して、取引先に誠実な対応を見せなければなりません。
なるべく早く対応することで、こちらの誠意も伝わりますので、初動の早さが大切です。
契約書の写しのみで許容する
契約書はコピーしての対応もできます。
契約書を紛失してしまっても、コピーがあれば最低限の契約書の用を満たすことはできます。
取引先にコピーを取らせてもらった後は、必ず署名押印をしてもらいましょう。
まとめ
契約書を紛失してしまうと、取引内容をはじめとする重要な情報が社外に漏洩したり、企業や組織としての信用をなくしたりといったリスクがあります。
契約書の紛失が発覚した時点で、速やかに取引先に謝罪して契約書のコピーや電子データを探すなど対処しましょう。
契約書の紛失を防ぐには、書類管理に関する厳密なルールの設定や、電子契約を導入することが効果的です。
また、効果的に契約書を管理したい場合は、SRIの「BUNTANリーガル」にお任せください。
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