生活の中で商品を買った際には請求書やレシートが発行されます。2022年7月現在、レシートなどに「※」や「軽」などが記載されており、それが2019年に適応された軽減税率であるとなんとなく理解している方は多いでしょう。この記載がまた変わり、2023年10月よりインボイス制度が適応されます。事業者の方に関りがありますが、消費者も理解していて損はありません。この記事ではインボイス制度についてわかりやすくまとめました。
目次
インボイス制度とは
2023年10月1日から導入されるインボイス制度は正式名称を「適格請求書等保存方式」といい、サービスや商品などの売買でかかる消費税を把握するための仕組みです。消費税の仕入税額控除を受けるために「インボイス(適格請求書)」と呼ばれる所定の条件を満たした帳簿や請求書等の保存が必要になります。
2019年10月1日に軽減税率が導入され、商品やサービスの請求書には軽減税率対象であるのか判別できるように印や税率、税額の明記が必要となりました。これは区分記載請求書等保存方式といわれます。今回のインボイス制度の適応で、さらにインボイスの登録番号、税率ごとの合計金額と適応税率、また税率ごとの消費税額を記載内容として追加することとなります。
インボイス制度の必要性
2019年10月より消費税の軽減税率制度が実施されており、2022年7月現在は原則消費税率10%ですが、食品などは8%となっています。そのため買い手が企業でも個人でも商品にかかる消費税が8%なのか10%なのか分からないことがあります。
消費税の仕入税額控除を受けるために、消費税が8%の商品を10%で請求するなど不正がないことが買い手側にも分かるように、消費税率や消費税額を請求書の中で明記した書類が必要となります。しかしインボイス制度に必要な「適格請求書」は請求書を発行する誰もが発行できるものではありません。
インボイス制度導入の注意点
インボイス(適格請求書)を発行するためには、税務署に所定の申請書を提出して「適格請求書発行事業者」とならなければなりません。しかしすべての事業者がなれるわけではありません。ここでは「適格請求書発行事業者」の該当となる事業者とそうでない事業者の違いについて記載していきます。
課税事業者
課税事業者とは消費税の申告と納付を行う義務があり、消費税を除いた売上高が1,000万円を超える事業者のことです。課税事業者のみが「適格請求書発行事業者」となることができます。課税事業者はインボイス(適格請求書)の発行が義務付けられるため、インボイス制度が始まる前までに「適格請求書発行事業者」として登録しておく必要性があります。
また、インボイス制度が始まってからは下記の対応を行う必要があります。
- 求められた場合のインボイス(適格請求書)の発行
- 交付したインボイス(適格請求書)の保存
免税事業者
課税事業者とは反対に消費税を除いた売上高が1,000万円以下で、消費税が免除される事業者は免税事業者となります。免税事業者はインボイス制度の対象とはならないため「適格請求書発行事業者」として登録できず、さらにインボイス(適格請求書)を発行することはできません。
そのため取引の際には注意してください。取引で「インボイス(適格請求書)を提出してほしい」と要求されても免税事業者は対応することができません。その場合、取引相手は「免税事業者からの仕入れで消費税の仕入税額控除ができない」ということになり課税の負担が増え、取引がストップすることも考えられます。
しかし課税業者となると消費税の納付が義務となってしまいますので、どちらが事業にとってベストかどうかを免税事業者は判断する必要があります。
インボイス制度に対応するためにするべきこと
インボイス制度の適応者となるためには事前に申請をする必要があります。課税事業者がインボイス制度の対象者となるために何をしなければいけないのかをまとめます。
適格請求書発行事業者への申請書提出
2021年10月1日から適格請求書発行事業者登録の申請が開始されていますので、課税事業者は速やかに登録をしましょう。インボイス制度が開始される2023年10月1日からインボイス制度に適応したい場合は2023年5月31日までに登録が必要です。
請求書の適応
インボイス制度の対象事業者は、従来の区分記載請求書等保存方式からインボイス制度(適格請求書等保存方式)への適応のために請求書のフォーマットの変更が必要となります。また、もし請求書をシステムで作成している場合にはシステム自体の変更が必要になることも考えられますので、今から変更対応を検討する必要があります。
インボイス制度について理解しておく
インボイス制度の適応は事業者だけでなくフリーランスにも関係があります。免税事業者としてはインボイス制度の対象者として課税事業者となるか、免税事業者のままでいるか、難しい判断を求められるかもしれません。しかしまずはインボイス制度がなんなのか、事業にどれほど重要なのかを判断することが大切です。
インボイス制度を理解した上で一番重要なのは適格請求書となる請求書です。業務システムやフローの見直し、取引業者への対応が必要となってきます。もし社内システムの変更や、それに伴うご相談があればぜひSRIへご連絡ください。
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